今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
2/23~3/1週のサマリー
- 米SEC、Robinhoodの暗号資産ビジネスに関する調査を終了、何の執行措置も講じず
- 米国証券取引委員会(SEC)、GrayscaleのETH ($2,450.87) ETFステーキングの申請を受理
- トランプ政権、EUへの関税賦課を表明
- BTC ($92,868.32)リスクオフムードの中、一時80,000ドル割れ
- 日本時間3/3未明、トランプ米大統領が暗号資産準備金関連の投稿を行い暗号資産市場急騰
暗号資産市場概況
2/23~3/1週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲10.21%の12,965,600円、ETH/JPYの週足終値は同▲18.72%の335,810円であった(※終値は3/2の当社現物EOD[3/2 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、前週のBybit不正流出の影響受けた悪い地合いを引き継ぎ、トランプ大統領の関税政策への警戒感や米国の景気減速懸念を背景としたリスクオフムードの中で、BTCは一時80,000ドルを割り込む場面が見られ、軟調な展開となった。
24日、NVIDIAの決算発表を控え米株が下落したことを受け、94,000ドルを割り込む軟調な展開からのスタート。
25日には米サウスダコタ州議会で提出されていたBTC戦略的準備金法案が否決されると、下げ足を早め90,000ドルを割り込む展開となる。この下落の背景にはノースダコタ州、ワイオミング州、ペンシルベニア州などが相次いでビットコイン準備金創設法案を否決したことも要因となっていることが挙げられる。現在18の州でビットコイン準備金法案の審議待ちの状態が続いていており、各州の動向には今後も注意を払う必要があるだろう。
米国時間26日にはトランプ政権が近日中にEUに対しての関税賦課を発表したことを受け軟調な展開が続き、85,000ドルを割り込む水準まで下落。エヌビディアの好決算により一旦下げ止まりを見せるものの、トランプ政権が改めてカナダ・メキシコへの関税措置を3月4日に発動し、中国に関しては追加で10%の関税を課すと宣言したこともあり、米国通商政策への懸念から軟調な地合いが続く展開となった。
週末金曜日のアジア時間には、上述のマクロ的な経済環境への市場センチメントの悪化によるリスク性資産からの資金流出を背景とし、BTCは80,000ドルを割り込む展開となった。その後は85,000ドル付近まで値を戻し週末を迎えた。
週央から週末にかけて米国経済指標の発表があったが、特に26日に発表された消費者信頼感指数は前月比10%減と市場予想を大きく下回る結果となり、米国経済の減速懸念も相場の重石となったといえるだろう。
今週発表される米国経済指標は7日発表の雇用統計が焦点となる。投資家は一連の指標で懸念を強めており、経済の現状を見極めようとしている。直近で発表された米国経済指標は軟化傾向にありマーケットは神経質になっている為、ボラタイルな局面になることも想定される。週末の雇用統計を含む指標関連のヘッドラインには注意を払う必要があるだろう。もちろん、引き続きトランプ政権の関税政策動向も注視することが必要だ。暗号資産関連では、米国において3月7日に暗号資産サミットを控えている。こちらについては「今週のひとこと」の項にて解説している為ご一読されたい。
※日本時間3月3日未明(執筆時点)にトランプ氏が暗号資産戦略準備金の推進を投稿したことを受け、暗号資産市場は急反発。BTCは85,000ドル付近から95,000ドル付近まで約10,000ドルの上昇を見せている。(言及のあったXRP ($2.80)、ADA ($1.07)、SOL ($169.63)、ETHも大きくアウトパフォーム。)
トランプ氏の暗号資産準備金に関する大統領令では、BTCの「reserve(備蓄)」を検討するといった内容に留まっていたため、今回の突然の発表は暗号資産業界にとって大きなサプライズとなったといえよう。引き続き関連のヘッドラインに注視していきたい。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
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2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
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3)ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
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4) イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格
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2/23~3/1週の主な出来事
3/2~3/8週の主な予定
【今週のひとこと】暗号資産サミット
今週3月7日、ホワイトハウスにて初の暗号資産サミットが開催されます。このサミットは、トランプ大統領が主催し、暗号資産業界の著名な創業者、CEO、投資家、そして大統領直属のデジタル資産ワーキンググループのメンバーの参加が予定されています。
トランプ大統領はサミットで演説を行い、同政権の暗号資産・AI最高責任者であるデビッド・サックス氏が主導し、デジタル資産ワーキンググループのエグゼクティブ・ディレクターであるボー・ハインズ氏が運営を担当します。
本サミットでは、ステーブルコインの規制、ビットコインの準備金、デジタル資産の規制などが議題として取り上げられる予定です。
ホワイトハウスは、「政権は明確な規制の枠組みを提供し、イノベーションを可能にし、経済的自由を守ることにコミットしている」と声明を発表しています。
また今回のサミットは、トランプ政権の米国証券取引委員会(SEC)が、暗号資産業界の企業に対する数々の注目を集めた訴訟や調査を取り下げた直後に開催されることとなります。SECは先月までに、Coinbaseに対する訴訟を取り下げ、 Gemini、OpenSea、Uniswap、Robinhoodに対する調査を撤回するなど、これまでとは異なり、トランプ政権下で暗号資産に対する規制方針の変化を示し、規制を緩和する動きを見せています。そして、暗号資産業界に対する規制アプローチの見直しが進行中であることを示唆しています。
本稿執筆時点では、まだ他の出席者名や開始時間、詳細なプログラムなどは公表されておりませんが、このような背景もあることから、今後の公式発表および当日のサミットの内容について注目してみるのも面白いのではないでしょうか。
このレポートについて
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画像:Reuters
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